CANADA'S WINDVIEW

趣味の写真を投稿していきます。昆虫好きな長男と一緒に昆虫を追いかけています。最初の年はセミやカマキリ、次の年はカブトムシ、トンボ、そして今年は…

新型コロナウイルス感染の初期7万症例をまとめた報告が出ました(中国)

中国で、新型コロナウイルス感染(COVID-19感染)の初期7万症例をまとめた論文が発表されました。

中国の医学雑誌ですので、英語になるのか判りませんし、ましてや日本語になるかどうかも不明です。

そこで、中国の科学網に載った記事の日本語訳を作ってみました。

図表はリンク先を参照して下さい。


→ 知り合いに英語版が出てますよと教えてもらいました。

The Epidemiological Characteristics of an Outbreak of 2019 NovelCoronavirus Diseases (COVID-19) — China, 2020


中国疾病予防管理センターが初期7万症例の分析結果を論文発表した《中国疫学雑誌》

 (原題:CDC首次公开7万病例分析结果 论文发于《中华流行病学杂志》)

作者:李晨陽 出典:科学網微信公衆号 発行:2020/2/17 21:12:38
日本語訳: windview

 

2月17日、中国疾病予防管理センターが、今までで最大規模の新型コロナウイルス肺炎の疫学的特徴の分析結果を発表した。

調査結果:

新型コロナウイルス肺炎のほとんどの患者は軽度の疾患を呈し、軽度/中程度の症例は80.9%に達した。
粗死亡率は2.3%であった。 60歳以上の死亡が81%を占め、基礎疾患のある患者の死亡率は遥かに高かった。
新型コロナウイルス肺炎は一般的なアウトブレイクパターンを示した。2019年12月に発生したケースは、小規模曝露感染パターンである可能性があり2020年1月は拡散感染パターンの可能性があった。これは、「武漢華南海鮮市場で野生生物の取り引きがあり、依然として未知である野生動物から人への感染を起こした新型コロナウイルスが、引き続いてヒト-ヒト感染を起こして行った」という以前の調査結果と合致する。
医療施設でのスーパースプレッダーの証拠はない。 ただし、医療従事者の感染と防護失敗の特定の原因については、更に調査を必要とする。
2月11日現在、流行状況は減少する傾向があったものの、流行自体は終了していない。 操業再開後の再流行という反動を防ぐために、出始めの症例の発見と処置を地域コミュニティーと職場単位で引き続き実施していく必要がある。

論文の詳細は次のとおり:

01 症例概要

 2020年2月11日現在、中国本土で合計72,314例が報告されており、そのうち44,672例
(61.8%)が確定例、16,186例(22.4%)が疑い例、10,567例(14.6%)が臨床的に診断され、889例が無症候例であった(1.2%)。
確認された症例のうち、ほとんどが30歳から79歳(86.6%)で、湖北省が74.7%を占め、
85.8%が武漢での曝露歴があった。
高血圧、糖尿病、心血管疾患、呼吸器感染症の患者の割合は、それぞれ12.8%、5.3%、
4.2%、2.4%であった。

02 死亡数と粗死亡率

確認された44,672人の症例のうち、合計1023人が死亡し、粗死亡率は2.3%であった。
4.2%、2.4%であった。
80歳以上の年齢層における粗死亡率は14.8%であった。 男性の粗死亡率は2.8%、女性は1.7%であった。
湖北省の粗死亡率(2.9%)は、他の省(0.4%)の7.3倍であった。
基礎疾患のない患者の粗死亡率は約0.9%であった。
基礎疾患のある患者の死亡率は遥かに高く、心血管疾患患者が10.5%、糖尿病 7.3%、慢性呼吸器疾患 6.3%、高血圧 6.0%、および癌 5.6%であった。
重症例の粗死亡率は49%に達した。

03 年齢分布と性別比

 患者は30〜79歳に集中していた。 この年齢層は、武漢で確認された症例全体の89.8%、湖北で88.6%、および中国全土で86.6%を占めた。
60歳以上の高齢者グループの症例の割合は、武漢で44.1%、湖北で35.1%、国内で31.2%であった。
確認された症例の男女比は、武漢で0.99:1、湖北で1.04:1、国内で1.06:1であった。

04 時間的地理的分布

 2月11日の時点で、全国の31の州(湖北省では74.7%)で合計44,672の確定症例が報告された。
湖北省以外で最初に確認された症例は、1月19日に広東省で確認された輸入新型コロナウイルス肺炎の最初の確認症例であった。
症例の0.2%は2019年12月31日以前に発生し、全ての症例は湖北省で発生した。
症例の1.7%は1月10日より前に発生し、20省の113の郡と地区に分布し、湖北は88.5%を占めた。
症例の13.8%は1月20日以前に発生し、30省の627郡および地区に分布しており、湖北は77.6%を占めた。
症例の73.1%は1月31日以前に発生し、31省の1310の郡および地区に分布しており、湖北は74.7%を占めた。
全ての患者の発症日によると、1月24〜28日が流行の最初のピークであり、2月1日には一日での発症数の異常な高値があり、その後徐々に減少した。
(注:発症日は、各患者が疫学的調査で発熱または咳の自己申告をした日を開始日として定義される;無症候性感染の「発症日」は、検査室で陽性と判定された日付に置き換えられている。)
確認された症例の発症日と報告日によれば、症例数は1月上旬に急速に増加し始め、1月24日から28日までに最初の流行ピークに達し、その後ゆっくりと減少したが、2月1日に一日あった高値、そして徐々に減少して行った; 報告された症例数は、1月10日以降急速に増加し、2月5日に流行のピークに達し、その後ゆっくりと減少した。

05 湖北省以外の症例

 湖北省以外の症例のピーク期間は、1月24日から27日であった。
ほとんどの症例(68.6%)は、病気の発症前14日以内に武漢に住んでいた、または武漢に行ったか、武漢の患者と濃厚接触したと報告している。

06 医療従事者の場合

 医療従事者の場合のピーク期間は1月28日だった可能性がある。
新型コロナウイルス肺炎の患者に診断治療を行う422の医療施設のうち、合計3019人の医療従事者が新型コロナウイルスに感染し(1716人の確定症例)、そのうち5人が死亡し、粗死亡率は0.3%であった。 非職業的曝露による感染症の可能性もある。
1688人の医療従事者のうち、疾患の重症度に関する情報を確認した症例のほとんどは軽度の症例(85.4%)であり、症例の死亡率は他の症例よりも低く、主な理由は年齢に関連していた。 医療従事者は一般的に60歳未満の労働者であり、死亡は主に60歳以上の患者で発生する。
これらの確認された医療従事者は、武漢(64%)と湖北の他の地域(23.3%)に集中していた。
確認された重症例の割合は、武漢で17.7%、湖北で10.4%、湖北以外で7.0%であった。

 

 しかしこの論文の著者は、現在の研究によって完全に解決されていない問題には、動物宿主の特定、感染期間の特定、感染経路の特定、効果的な治療および予防方法の開発(簡単な検出試薬の開発、 治療薬とワクチンの研究開発など)などがあるとしている。