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20220811木 晴れ時々曇り 28⇔19
愛知県豊根村の茶臼山・萩太郎山 両山の山頂付近でオニヤンマ♂(鬼蜻蜓・Anotogaster sieboldii Sélys, 1854)を捕獲&撮影できました。それぞれ茶臼山(標高1,415m)は海抜1,407m地点で1頭、萩太郎山(標高1,358m)は海抜1,350m地点で3頭です。
オニヤンマは幼虫であるヤゴの時代は、山の綺麗な水の小規模な流れである沢などに生息しますから、そのような沢は当然山頂にはありません。ですから、このオニヤンマ成虫達は山の中腹若しくは麓で羽化した個体が飛んで上がってきていることになります。
以前田原の蔵王山の山頂展望台でオニヤンマらしきが飛翔していたのを見掛けたのですが、全然捕獲できるところに居なかったため(当然飛翔写真も困難)、その存在を証明できずにいました。今回山頂にも全然飛んで来る(しかも1,000m級)ということが証明できました。
更に、動画には撮れなかったですが、私の周りに集って来ていたアカウシアブを追い掛け廻すのに、まるでアイススケートの3回転ジャンプのようにくるくる回りながら飛んでいる様子を目の当たりにし、オニヤンマの図抜けた飛行能力を改めて実感することができました。昆虫界最速と言われるギンヤンマでもこのような飛び方は出来ません。
今回捕獲できたのは♂ばかりですが、実は♂♀の連結体の飛翔も萩太郎山山頂付近で目撃しており、同じく山頂に居る時に目の前で♂♀の連結体になった瞬間も見られました。即ちこれは♀も山頂まで飛んで来る事を意味していますし、涸れ勝ちな沢の流れの始まり(最上流部)辺りでも産卵が行われているであろうことが容易に想像できます(もちろんこれは未だ証明はできていないですが)。
キアゲハ♂やアカタテハ♂等には山頂飛翔性と言いますか山頂に配偶縄張りを持つそうですが、オニヤンマも山頂まで来る事が証明できました。これは、キアゲハ♂やアカタテハ♂の山頂飛翔性とは異なり、単に涼しくて獲物が豊富であるからではないかと思っています(仮説)。因みに茶臼山、萩太郎山の山頂では、ツマグロヒョウモン♂をよく見掛けます。
<参考>
ポケット図鑑 日本の昆虫1400 (2)トンボ・コウチュウ・ハチ/槐真史 編、伊丹市昆虫館 監修/文一総合出版/2013年5月31日 初版発行
新装改訂版 トンボのすべて 増補 世界のトンボ/井上清・谷幸三 著/トンボ出版/2017年6月1日 新装改訂版発行
ネイチャーガイド 日本のトンボ/尾園暁・川島逸郎・二橋亮 著/文一総合出版/2017年4月10日 第3版発行
新訂 原色昆虫大圖鑑 第III巻/平嶋義宏、森本桂 監修/北隆館/2008年1月25日 新訂版初版発行
月刊ちいさなかがくのとも2021年8月号 附録 おおきなひとのための「おおきな おおきな とんぼ」/森上信夫/福音館書店/2021年8月1日
くらべてわかる昆虫/奥山清市 写真、永幡嘉之 写真、永幡嘉之 著/山と渓谷社/2017年6月10日 初版発行