現代医学に無い、漢方医学独特の水滞・水毒という概念があります
体液の偏在が起こった状態で、痰飲とも言います。
体質傾向として認められることが多いのですが、水滞が基盤となって起こっていると考えられる各種の疾患があり、利水剤投与によって現代医学にない角度からの治療ができます。
水滞に対する方剤である利水剤(除痰剤)の大部分は治脾剤に属していることも明らかですが、水滞の原因は脾と腎の機能障害、特に脾が主たる原因であると考えられます。
軟弱となった今日の日本人に対する利水剤のファーストチョイスは六君子湯(TJ-43)です。又、現実には水滞の奥に裏寒が潜んでいるケースが非常に多く、いわゆる利水剤を長期に使用する時には附子を加えて用いたり、真武湯(TJ-30)など温裏剤を併用する必要が生ずるのが大部分です。
体質傾向として認められることが多いのですが、水滞が基盤となって起こっていると考えられる各種の疾患があり、利水剤投与によって現代医学にない角度からの治療ができます。
水滞に対する方剤である利水剤(除痰剤)の大部分は治脾剤に属していることも明らかですが、水滞の原因は脾と腎の機能障害、特に脾が主たる原因であると考えられます。
軟弱となった今日の日本人に対する利水剤のファーストチョイスは六君子湯(TJ-43)です。又、現実には水滞の奥に裏寒が潜んでいるケースが非常に多く、いわゆる利水剤を長期に使用する時には附子を加えて用いたり、真武湯(TJ-30)など温裏剤を併用する必要が生ずるのが大部分です。
胃内停水、胃部振水音、悪心・嘔吐、胸水貯留、心嚢液の貯留、肺水腫、湿性胸膜炎、泡のような痰が出る肺炎、水様性痰の出る気管支炎、気管支喘息、水様性鼻汁、喘鳴
浮腫(現代医学が捕らえるレベルの浮腫ばかりでなく、軽微な浮腫も含める)
むくみやすい、水太り、唾液・涙の分泌過多、仮性近視、多汗あるいは無汗、眩暈、耳鳴り、頭重、頭痛
各種の疼痛(関節痛・胸痛・神経痛)、震かん、口渇または水を嫌う傾向、排尿回数が少ない、尿量減少、全身倦怠感、易疲労性
浮腫(現代医学が捕らえるレベルの浮腫ばかりでなく、軽微な浮腫も含める)
むくみやすい、水太り、唾液・涙の分泌過多、仮性近視、多汗あるいは無汗、眩暈、耳鳴り、頭重、頭痛
各種の疼痛(関節痛・胸痛・神経痛)、震かん、口渇または水を嫌う傾向、排尿回数が少ない、尿量減少、全身倦怠感、易疲労性
水毒は、冷えているから水が溜まるので、真武湯が基本。
関節リウマチ、膝関節症などに利水剤を使用すると関節の水が取れて痛みが取れる。
小半夏加茯苓湯(TJ-21) | 半夏・生姜・茯苓 | つわりの薬として有名 |
苓甘姜味辛夏仁湯(TJ-119) | 茯苓・半夏・杏仁・甘草・乾姜・細辛・五味子 | 気管支炎、喘息、肋膜炎、肺水腫などに適応 |
小青竜湯(TJ-19) | 麻黄・芍薬・乾姜・甘草・桂枝・細辛・五味子・半夏 | 気管支炎、喘息、肋膜炎、肺水腫などに適応 |
五苓散(TJ-17) | 沢瀉・猪苓・茯苓・朮・桂枝 | 吐き下しの感冒性胃腸炎、頭痛、ネフローゼなどに適応 |
苓桂朮甘湯(TJ-39) | 茯苓・桂枝・白朮・甘草 | 仮性近視・起立性調節障害に適応 |
防已黄耆湯(TJ-20) | 防已・黄耆・朮・生姜・大棗・甘草 | 水太りの体質改善として中年女性によく使用する |
猪苓湯(TJ-40) | 猪苓・滑石・沢瀉・阿膠 | 膀胱炎の薬として適応が広い |
越婢加朮湯(TJ-28) | 麻黄・石膏・生姜・大棗・甘草・朮 | 流涙・ネフローゼ・リウマチ・皮膚病性腎炎などに適応 |
人参湯(TJ-32) | 人参・甘草・白朮・乾姜 | 吐き下しの感冒性胃腸炎、悪阻、泡のような痰の出る肺炎、水様性痰の出る喘息、気管支炎などに使用の機会 |
真武湯(TJ-30) | 茯苓・芍薬・生姜・朮・附子 | 裏寒に陥っている人の起立性調節障害、内臓下垂体質の改善、気管支炎、肺炎などに使用 |
呉茱萸湯(TJ-31) | 呉茱萸・人参・大棗・生姜 | 胃寒のある人の頭痛などに使用 |
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(TJ-38) | 当帰・桂枝・芍薬・木通・細辛・甘草・大棗・呉茱萸・生姜 | 冷えのある喘息、気管支炎などに使用 |
半夏白朮天麻湯(TJ-37) | 六君子湯・沢瀉・天麻・黄柏・麦芽・神麹(しんぎく)・黄耆 | 胃腸虚弱なものの頭痛、眩暈に用いる |
当帰芍薬散(TJ-23) | 当帰・芍薬・川芎・茯苓・朮・沢瀉 | 温性駆瘀血剤で利水剤でもある薬方、婦人の諸疾患に応用が広い |
薏苡仁湯(TJ-52) | 麻黄・当帰・白朮・薏苡仁・桂枝・芍薬・甘草 | 関節リウマチに使用の機会 |
五積散(TJ-63) | 二陳湯・半夏厚朴湯・四物湯去地黄・桂枝・麻黄 | 気・血・痰・寒・食の五積(体内に病毒が鬱積する)を治す。体質的に肝と脾が虚弱なものが寒と湿に損傷されて起こる疾病に用いる。上熱下冷、腰冷痛、腰肢攣急、小腹痛を目標として用いる。多くの場合、冷え太り、冷え便秘となっている。 |
九味檳榔湯 | 檳榔4・厚朴3・橘皮(きっぴ)3・生姜1・大黄1・木香1・甘草1・紫蘇葉1.5 | 水滞、気滞、瘀血に対する複合治療処方。各種疾患に使用の機会が極めて多い。 |
水毒と言うと五苓散が有名だが、苓桂朮甘湯、真武湯、人参湯など基本のものを押さえた上で五苓散も使えると良い。