「新型インフルエンザの現状及び今後の対策」
国立感染症研究所 感染情報センター センター長 岡部 信彦 先生
新型インフルエンザと言う名称は、外国ではもう使われていない。日本で法律などに残ってしまっているため、使わざるを得なくなっている面もある。
新型インフルエンザと言った場合、昨年流行ったものとこれから流行るものの両方を指してしまう。これから流行るものを新々型と言っていくとややこしくなる。
新型インフルエンザと言った場合、昨年流行ったものとこれから流行るものの両方を指してしまう。これから流行るものを新々型と言っていくとややこしくなる。
新型インフルエンザは時々現れる。
1918年 | 「スペイン型インフルエンザ」 | 2-4千万人の死亡者(日本39万人) | A(H1N1) | 第一次世界大戦 |
1957年 | 「アジア型インフルエンザ」 | 二百万人の死亡者 | A(H2N2) | いざなぎ景気、長嶋ジャイアンツへ |
1968年 | 「香港型インフルエンザ」 | 百万人の死亡者 | A(H3N2) | 三億円強奪事件 |
1580年以来10-13回のパンデミックが発生しているのが事実。
香港型インフルエンザ以来、40年近くパンデミックが発生していなかった。
新型ウイルス(パンデミック)対策の重要点
最も重要なこと --- 一時的に患者が急増する事態に対して判断者(政治、行政、医療、メディア等)がパニックにならないこと。
海外発生から国内侵入の時期に初期封じ込めを行い、それから感染拡大期・蔓延期へと移行していくが、ここのところで発想・作戦の大転換が必要となるが、それがうまく行かなかった。
A(H1N1)pdmがあっという間に広まったと言うことは逆に言うと重症度はあまり高くないと言うこと。
重症度が高いと、すぐに死亡してしまい、感染者が遠くへ移動できない。
重症度が高いと、すぐに死亡してしまい、感染者が遠くへ移動できない。
インフルエンザウイルスは8本の遺伝子を持つが、A(H1N1)pdmは由来が複雑で、少なくとも4つの違う由来から成る。
普通、インフルエンザの系統樹を描くと非常に複雑になるが、A(H1N1)pdmは単純。すんなわちあまり変異していないということ。
インフルエンザの年別・週別発生状況
A(H1N1)pdmは、季節性インフルエンザに比し約4-5か月間早い流行。患者数は季節性を上回る。ピークは低く幅広い流行となった。
A(H1N1)pdmは、季節性インフルエンザに比し約4-5か月間早い流行。患者数は季節性を上回る。ピークは低く幅広い流行となった。
感染数ピークが大きくなると他の医療も潰れてしまう。
感染拡大の時期を遅らせることで、感染拡大に対する準備ができる。
感染拡大の時期を遅らせることで、感染拡大に対する準備ができる。
各々の国で定義が違うので単純には比較できないが、新型インフルエンザによる死亡率を比較すると日本は世界的に見てもかなり低い。
日本ではタミフルをじゃぶじゃぶ使ったが、同じように致死率が低いフランスで使っていたかと言うとそうでもない。
日本ではタミフルをじゃぶじゃぶ使ったが、同じように致死率が低いフランスで使っていたかと言うとそうでもない。
メキシコでの致死率の推移で、初期の段階で物凄く高いのは、初期の段階では死者が中心に報告されたため。
米国は最初の段階で「致死率が低い」と断定してしまったため、あまり対策を取っていなかった。そのため結果的に感染者数が増え、致死率も上がっている。
妊婦とインフルエンザ(WHO) 2009.10