カテゴリー[ 昆虫| 田園| 街| 数学・幾何学| 寺院| 城| 祭り| 鉄道| 海| 風力発電]
20190901日 晴れ一時雨 31⇔24 南西5
静岡県磐田市にある竜洋昆虫自然観察公園で行われた「オオクワガタの幼虫を育てよう」教室です。
昆虫の翅の進化の話から幼虫の飼育の仕方までの講義があり、実際にオオクワガタの幼虫が配布され、それを菌糸パックに移しました。今回でこの講義を受けるのは2回目です。
講義ノート
オオクワガタは日本の甲虫の中では最大。静岡県には基本的には居ない。
生き物を飼うという事は、情操教育に非常に良いと言われている。とても豊かな人間性をつくる。生命の尊さ、儚さなどを学び体験する。
80mmを超えるクワガタの方が、ネプチューンオオカブトやヘラクレスオオカブトなどよりも高価で貴重。
昆虫の翅の進化
地球が誕生してから約50億年経ってるが、5億年前くらいに海から生命が誕生した。2億年前くらいに昆虫が誕生した。
地球上で最初に空を飛んだ生命は、蜻蛉(カゲロウ)という昆虫。翅は4枚あるが、畳めない。
次に出てきたのがトンボ。4枚の翅を持つが、最初から翅が開いていて、畳めない。中生代にはメガネウラという翅を広げると70cmくらいになるトンボが居た。大気中の酸素濃度が高かったから、大型化した。
次にセミ。普段は真っすぐに翅を閉じ、飛ぶときに広げる。
次はバッタ。内側の翅は大きく、扇子や蛇腹のように畳める。
別の進化をしてきたのがチョウ。翅に鱗粉を沢山付けていて、大きな翅をゆっくり羽搏かせる。チョウが飛ぶ様子は「ひらひら」とか「ぱたぱた」と表現される。一方、蜂などは「ぶんぶん」と表現される。これは、小さな翅を小刻みに高速で羽搏かせるためで、蚊に至っては非常に高音のキーンという音になる。
飛ぶ昆虫が、普段生活する上で一番危ないことは、雨に濡れること。チョウは雨(水)に当たってもいいように進化した。鱗粉で雨(水)を弾く。
最後は甲虫。硬い甲羅の外側の翅を開き、大きな内側の翅を拡げて飛ぶ。飛ぶのに準備が要る。内側の折り畳まれた翅を一瞬で拡げ、一瞬で折り畳む仕組みが判ったのは最近の話。これを宇宙空間で太陽光パネルを開く技術に応用しようとしている。
幼虫の観察
幼虫や菌糸びんの菌糸、マット自体には絶対に手で触らない。手には雑菌が沢山付いている。
大あごでマットを一生懸命食べる。真横から見ると、1つの節に1つずつ点がある。これは気門で、皆の鼻と同じ。
背中を見ると、一本の線が走っている。これは背脈管と言って、皆の心臓と同じ。体中に血液を送っている。
幼虫を菌糸パックへ移動
菌糸パックの蓋を開け、中央部にスプーンで直径3cmくらい深さ3cmくらいの穴を掘り、そこにスプーンで幼虫を掬って入れる。
その後、元々幼虫が居たマットを入れて、幼虫を隠すように入れ、そっと蓋をする。
元々幼虫が居たマットを入れるのは、幼虫の腸内細菌がそこに居るため。適切な腸内細菌が居ないと、菌糸をうまく消化できない。今後の菌糸びん交換でもこの腸内細菌を意識する。
オオクワガタの成長
オオクワガタを大きく育てるのは血統が大事。ここで育てているのは 能勢YG という血統。
本日配布している幼虫は、7月上旬にペアリングして8月上旬に産まれたもの。
卵の期間が約2週間。
1齢幼虫の期間が約2週間。
2齢幼虫の期間が約1か月で、大きさは10-15mmくらい。
今日配布した2齢幼虫は、9月下旬から10月上旬に3齢幼虫になる計算。
幼虫の期間は大体6か月から8か月くらいで、その後蛹になるので、来年の夏休みくらいに成虫になる計算。
成虫は2-3年生きるので、現在小学校低学年のお子さんなら、小学校卒業まで一緒に過ごすイメージ。
菌糸パックの蓋を開け、中央部にスプーンで直径3cmくらい深さ3cmくらいの穴を掘り、そこにスプーンで幼虫を掬って入れる。 その後、元々幼虫が居たマットを入れて、幼虫を隠すように入れ、そっと蓋をする。
幼虫の菌糸びん交換
菌糸びんは生き物と思っておく。キノコが生えてしまうと、キノコの方に栄養が取られてしまうので、幼虫の餌としては良くない。新しいものですぐ使わない場合は、冷蔵庫の野菜室に入れて置けば、3か月くらいはもつ。ホームセンターでも売られてはいるが、古いものが平気で売られていたりするので注意。昆虫公園では常に新しいものが置いてある。
菌糸びんは、クワガタムシの幼虫が育つ朽ち木を再現したもの。オオヒラタケの菌糸。
オオクワガタは幼虫も成虫も、夏の暑さは苦手なので、家の中で一番涼しいところに置いておく。今日家に持って帰る時も、途中で車の中に置いておくのはいけない。それぞれに名前を付けて、もう家族の一員だと思って下さい。
振動や刺激を与えない。
菌糸びん内は、それ自体が生き物で、生態系が成り立っている。びん自体の交換までは水をやったり空気を入れ換えたりなどの世話は一切必要ない。家族の一員と考えてもらうことと矛盾するが、幼虫は居ないものと思ってもらうくらいが丁度良い。
順調に行くと、一か月後くらいに大きな菌糸びんに移動してから、年内にもう一度菌糸びんを交換する必要が出てくる可能性がある。
オオクワガタは日本固有の種で、東北にも棲んでいるので、(日本の)冬の寒さにも十分耐えられるはず。