CANADA'S WINDVIEW

趣味の写真を投稿していきます。昆虫好きな長男と一緒に昆虫を追いかけています。最初の年はセミやカマキリ、次の年はカブトムシ、トンボ、そして今年は…

名古屋臨床漢方セミナー 2

20101023土 晴れ


補血剤、補陰剤の活用」

はじめに
漢方医学は現代医学にない治療薬をたくさん持っています。その中で、想像を超えて虚弱化した今日の日本人には特に温裏剤、ついで脾胃剤が重要です。補血剤や補陰剤も現代医学にない治療薬で、ごく簡単に言いますと腎虚の治療薬、老化に対処できる薬で、適切に使用すれば、高齢化社会を迎えた今日、大いに患者さんのお役に立つかと思います。

1. 血虚「肝・腎両虚 裏虚の進展した状態 血の不足」




血虚とは西洋医学の立場での貧血そのものではなく、もっと広義な概念で、あるべきものが足りなくなった状態を指します。
大病後や産後などで病み衰えた状態。老人になると身体が縮み小さくなり、骨がスカスカになるのを思い浮かべると理解しやすい。従って中年以降は潜在的血虚が存在すると考えます。血虚に対して西洋医学では特殊な状況以外に積極的に治療効果のある薬は存在しませんが、漢方医学には補血剤といって、肝や腎の機能を積極的に良くすることで治病効果を高めたり、老化に対処する薬方が種々用意されています。




四物湯の展開


全て胃腸が丈夫で下痢しないこと。

芎帰膠艾湯(77) [四物湯・甘草・艾葉・阿膠]

艾葉苦・辛・温止血・温経・散寒広い意味での温性駆瘀血薬に入る
阿膠甘・平補血・止血・滋陰・潤燥

下焦の瘀血を艾葉で温めながら下す作用があり、過多月経、痔、痔出血、血尿などにも用いられる。
子宮筋腫で出血が多く下痢する場合、四逆加人参湯。


当帰飲子(86) [四物湯・防風・黄耆・荊芥・甘草・蒺藜子(しつりし)・何首烏]

何首烏苦・甘・渋・温滋陰・強壮補肝の作用に優れる
蒺り子辛・苦・微温疏肝熄風・明目・止痒

皮膚のかさかさで痒くなるアトピー、老人性瘙痒症、高血圧など諸疾患に用いられる。

七物降下湯(46) [四物湯・黄耆・黄柏・釣藤鈎]


釣藤鈎甘・微寒平肝止痙
黄柏苦・寒清熱燥湿・瀉火解毒特に下半身の湿熱を除去する

高血圧症・動脈硬化脳梗塞後遺症などに用いられる。


温清飲(57) [四物湯・黄連解毒湯]


黄連苦・甘清熱燥湿・瀉火解毒特に胃熱を冷ます
黄芩苦・寒清熱燥湿・瀉火解毒特に肺熱を冷ます

アトピーなどで皮膚が赤みを帯び、かさかさで痒みのひどいときや、のぼせのある高血圧など諸疾患に用いる。

疎経活血湯(53) [四物湯・二陳湯・桃仁・牛膝・竜胆・防已・防風・羗活・威霊仙・白朮]


桃仁苦・甘・平破血祛瘀寒性駆瘀血薬
牛膝苦・酸・平祛瘀止痛・活血通経・補益肝腎

水毒と瘀血のある人の腰痛・神経痛・高血圧に用いる。

加味四物湯 [四物湯・黄連・黄柏・牛膝・杜仲・知母・麦門冬・五味子・蒼朮・人参]




血府逐瘀丸 [四物湯・桃仁・紅花・牛膝・柴胡・枳実・桔梗・甘草]


新中国の高血圧など生活習慣病に対する代表的な薬



2 陰虚 --- 「血虚に虚熱症状が加わったもの」

血虚があって、顔面頬部の紅潮、手足や顔のほてり、寝汗、のぼせ、首の後ろの暑さ、不眠、めまい、喉の渇きなど虚熱症状が加わった状態。
一般的には八味丸と比べ、少し若い年代の中年に使用する機会が多い。

陰虚には補陰剤を用いる


六味丸(87)[地黄・山薬・山茱萸・茯苓・沢瀉・牡丹皮]が基本。

「地黄が配され補腎すると共に、牡丹皮が配され駆瘀血するように配慮されている」
高血圧など生活習慣病に用いられる。

薬方の展開

杞菊地黄丸(こきくじおうがん)


知柏地黄丸(ちばくじおうがん)


味麦地黄丸(みばくじおうがん)


陰虚があると陰虚火旺に進展しやすい。滋陰降火剤の適応となる。


滋陰降火湯(93)地黄・黄柏・知母・麦門冬・天門冬・当帰・芍薬・蒼朮・陳皮・甘草

知母苦・寒清熱瀉火
黄柏苦・寒清熱燥湿殊に下半身の湿熱を除去

手足のほてり・のぼせ・寝汗があり、乾いた咳の続く肺結核・慢性気管支炎などに使用。

麦門冬・天門冬が肺を潤す。

膠原病などに使用機会が多い。






3 腎陰陽虚





4 気血両虚

臓腑機能が全般的に衰えた状態。
気血両補剤を投与し、臓腑機能を良くし自然治癒力を高める。