「補血剤、補陰剤の活用」
はじめに
漢方医学は現代医学にない治療薬をたくさん持っています。その中で、想像を超えて虚弱化した今日の日本人には特に温裏剤、ついで脾胃剤が重要です。補血剤や補陰剤も現代医学にない治療薬で、ごく簡単に言いますと腎虚の治療薬、老化に対処できる薬で、適切に使用すれば、高齢化社会を迎えた今日、大いに患者さんのお役に立つかと思います。
漢方医学は現代医学にない治療薬をたくさん持っています。その中で、想像を超えて虚弱化した今日の日本人には特に温裏剤、ついで脾胃剤が重要です。補血剤や補陰剤も現代医学にない治療薬で、ごく簡単に言いますと腎虚の治療薬、老化に対処できる薬で、適切に使用すれば、高齢化社会を迎えた今日、大いに患者さんのお役に立つかと思います。
1. 血虚「肝・腎両虚 裏虚の進展した状態 血の不足」
血虚とは西洋医学の立場での貧血そのものではなく、もっと広義な概念で、あるべきものが足りなくなった状態を指します。
大病後や産後などで病み衰えた状態。老人になると身体が縮み小さくなり、骨がスカスカになるのを思い浮かべると理解しやすい。従って中年以降は潜在的に血虚が存在すると考えます。血虚に対して西洋医学では特殊な状況以外に積極的に治療効果のある薬は存在しませんが、漢方医学には補血剤といって、肝や腎の機能を積極的に良くすることで治病効果を高めたり、老化に対処する薬方が種々用意されています。
大病後や産後などで病み衰えた状態。老人になると身体が縮み小さくなり、骨がスカスカになるのを思い浮かべると理解しやすい。従って中年以降は潜在的に血虚が存在すると考えます。血虚に対して西洋医学では特殊な状況以外に積極的に治療効果のある薬は存在しませんが、漢方医学には補血剤といって、肝や腎の機能を積極的に良くすることで治病効果を高めたり、老化に対処する薬方が種々用意されています。
全て胃腸が丈夫で下痢しないこと。
芎帰膠艾湯(77) [四物湯・甘草・艾葉・阿膠]
艾葉 | 苦・辛・温 | 止血・温経・散寒 | 広い意味での温性駆瘀血薬に入る |
阿膠 | 甘・平 | 補血・止血・滋陰・潤燥 |
下焦の瘀血を艾葉で温めながら下す作用があり、過多月経、痔、痔出血、血尿などにも用いられる。
子宮筋腫で出血が多く下痢する場合、四逆加人参湯。
当帰飲子(86) [四物湯・防風・黄耆・荊芥・甘草・蒺藜子(しつりし)・何首烏]
何首烏 | 苦・甘・渋・温 | 滋陰・強壮 | 補肝の作用に優れる |
蒺り子 | 辛・苦・微温 | 疏肝熄風・明目・止痒 |
皮膚のかさかさで痒くなるアトピー、老人性瘙痒症、高血圧など諸疾患に用いられる。
桃仁 | 苦・甘・平 | 破血祛瘀 | 寒性駆瘀血薬 |
牛膝 | 苦・酸・平 | 祛瘀止痛・活血通経・補益肝腎 |
水毒と瘀血のある人の腰痛・神経痛・高血圧に用いる。
新中国の高血圧など生活習慣病に対する代表的な薬
2 陰虚 --- 「血虚に虚熱症状が加わったもの」
血虚があって、顔面頬部の紅潮、手足や顔のほてり、寝汗、のぼせ、首の後ろの暑さ、不眠、めまい、喉の渇きなど虚熱症状が加わった状態。一般的には八味丸と比べ、少し若い年代の中年に使用する機会が多い。
陰虚には補陰剤を用いる
六味丸(87)[地黄・山薬・山茱萸・茯苓・沢瀉・牡丹皮]が基本。
薬方の展開
杞菊地黄丸(こきくじおうがん)
知柏地黄丸(ちばくじおうがん)
味麦地黄丸(みばくじおうがん)
滋陰降火湯(93) | 地黄・黄柏・知母・麦門冬・天門冬・当帰・芍薬・蒼朮・陳皮・甘草 |
知母 | 苦・寒 | 清熱瀉火 | |
黄柏 | 苦・寒 | 清熱燥湿 | 殊に下半身の湿熱を除去 |
手足のほてり・のぼせ・寝汗があり、乾いた咳の続く肺結核・慢性気管支炎などに使用。
麦門冬・天門冬が肺を潤す。
膠原病などに使用機会が多い。